空気のお菓子 / 土谷未央

Bibliographic Details

Title
空気のお菓子
Author
Mio Tsuchiya / 土谷未央
Editor
Ema Otobe / 乙部恵磨
Designer
Haruka Fujii / 藤井 瑶
Director
Creative direction by Osamu Kushida / 櫛田 理
Images
Photo by Koji Honda / 本多康司
Publisher
BONBOOK / 図書印刷株式会社
Year
January 1, 2023 / 2023年1月1日
Size
w148 × h210 × d8mm
Weight
180g
Pages
56 page
Language
Japanese / 日本語
Binding
Hardcover / ハードカバー
Edition
Limited Edition of 2500 copies / 限定2500部
Condition
As New / 新品
ISBN
978-4-910462-14-1

Model by Sachiko Tamazawa 玉澤幸子 / Book Design by Yoshihisa Tanaka 田中義久 / Sales Cooperation by 無印良品 MUJI BOOKS / Printing and Binding by TOSHO PRINTING CO., LTD. 図書印刷株式会社

フワフワでスカスカな
おいしいお菓子は
ほとんど空気でできている

三度の飯よりお菓子が好きな菓子作家、土谷未央の妄想と偏愛と願望が一冊になりました。マシュマロ、メレンゲ、シフォンケーキ、綿菓子、ポップコーン、生クリーム。空気をたっぷりと抱き込んだフワフワでスカスカな8種類の空気のお菓子を「見立て」「物語」「レシピ」の3つの側面から紹介するのがこの本です。

古今東西お菓子ならば何でも食べる(カステラ以外)という土谷さんが、今回空気のお菓子にこだわった1番のきっかけは、空気の価値にありました。

空気は無料。そして、目に見えないものなので、材料に「空気」と書かれることはありません。けれども空気は、とりわけ空気のお菓子においては、レシピの材料の一番上に書かれてもよいほどに材料として「美味しさ」を作り出しています。

重さと価値は比例する、という事実は製菓以外でも認められています。重い=中身がぎっしり詰まっているから。はてさて、それでは空気のお菓子に当てはめてみてはどうでしょう?というのが土谷さんの着眼点でした。フワフワ、スカスカだからこそおいしいお菓子たちから空気を抜いてしまったら、そのおいしさはどうなってしまうのか……答えは是非、書籍の中で探してみていただければ幸いです。

それでは、この本の3つの側面をご紹介しましょう。

【1】みたて
土谷さん曰く、「みたて」は土谷さんが菓子作家として活動する上で、とても大切な考え方なのだそう。2012年にたったひとりではじめたcineca(チネカ)では、一本の映画を、ひとつのお菓子に見立てるという新しい表現方法を見出しています。本書では「もしもお菓子にすり替わったら、あれもこれも、食べることができたりして」という言葉の通り、土谷さんは私たちの普段のくらしの中にあるものを、空気のお菓子に見立てています。ベッドの上にはフワフワな綿菓子のお布団、ダンボールの中にはマシュマロの発泡材、本を読む人…の首元にはシフォンケーキの首枕、といった具合に、夢のような冗談のような景色をおたのしみいただけます。

【2】ものがたり
土谷さんがエッセイの手法で書き下ろした8編は、どれも小気味よいリズムで、それぞれ珈琲一杯で読み切れるちょうどいい長さの読みもの。歴史上の人物や、お馴染みのスイーツ、土谷さん縁の浅草の街が登場するなど、お菓子が大好きという真っ直ぐな感情と、菓子作家ならではの鋭い視点が混ざり合い、どんな人でもきっと新しい発見があること間違いなし。

【3】レシピ
土谷さんが菓子作家として活動をスタートして以来、10年という月日が経っていますが、実はこれまでレシピ本は未発表。今回は、本書前半に登場する8種類の空気のお菓子のレシピを紹介しています。レシピの特徴はもちろん、材料として空気が含まれていること。上手に空気を取り込んではじめて、おいしい空気のお菓子が出来るからです、これはきっと世界初の試みでした。主に精製された材料を使う製菓は、作り方も構造も料理よりずっと化学的。土谷さんの一言メモでは、お菓子を化学的な視点で解説しているので必見です。

この本は、おそらく世界ではじめて「空気」をレシピの材料に書き込んだ本。土谷さんの「おいしいところ」をすべて詰め込んだ1冊をつくりたい、と試みたのが本書です。本書のまえがきにはこんな一節が綴られています:

何気ない日常の風景が、
もしもお菓子にすり替わったら、
あれもこれも、食べることができたりして
妄想か、過ぎた偏愛か、はたまた願望か。
空気のお菓子と生活がふうわりと混じりあい、
刻が一瞬甘くなる。

空気は、無味で無臭で無料で
とっても謙虚な存在だから
意識することなんてほとんどないけれども、
今日の一日がしのげるのも
みんな空気のおかげなのだと思ったりもするのです。


土谷さんはいつも考えています。いつのまにかあたりまえになっていた毎日を、もっとおいしく、もっと可愛く、もっとおもしろくできないか。この本は、空気のお菓子をきっかけに、「あたりまえ」を信じて疑わないわたしたちの日常へ向けて、問いかけを贈ります。

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Text by 乙部恵磨


Profile



土谷未央  / Mio Tsuchiya
菓子作家。東京都生まれ。多摩美術大学卒業。グラフィックデザインの仕事に関わったのちに都内製菓学校で製菓を学ぶ。2012年に映画をきっかけに物語性のある菓子を制作するcineca(チネカ)を創める。製菓において、日常や風景の観察による気づきを菓子の世界に落とし込む手法をオリジナルのものとする。2017年頃からは企画や菓子監修、アートワーク制作・執筆業なども手がける。最近の仕事に、東京国立近代美術館『ピーター・ドイグ展』(2020)オリジナル菓子監修・制作、LUMINE 全館クリスマスフェア 2019『POWER CAKES』菓子監修など。2022年春には、間が表象する造形に焦点をあてた「あわいもん」を立ち上げ、店主として製菓と店づくりを行う。

cineca
http://cineca.si/
instagram @cineca

あわいもん
https://www.awaimon.shop/
Instagram @awai_mon

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