ALEA ENCUENTROS 1972 PAMPLONA
Bibliographic Details
- Title
- ALEA ENCUENTROS 1972 PAMPLONA (PAMPLONA ART ENCOUNTER 1972)
- Designer
- José Luis Alexanco / ホセ・ルイス・アレクサンコ
- Publisher
- ORGANIZADOS POR GRUPO ALEA
- Year
- 1972
- Size
- h275 × w210 × d40mm
- Language
- スペイン語・英語(一部)
- Binding
- ソフトカバー
- Printing
- オフセット
背少焼け有 表紙一ヶ所折跡 裏表紙擦れ有 2分の1のページに糊綴じはずれ有
1972年、スペイン北部の街に
350人の前衛芸術家が
結集しました。
牛追い祭り「サン・フェルミン祭」やヘミングウェイの長編小説『日はまた昇る』の舞台としても知られるスペイン北部の小さな街パンプローナで、1972年に開催された芸術祭の図録です。
イべントに招聘された前衛芸術家は350人。ボルタンスキー、ルイス・ブニュエル、ジョン・ケージ、オーギュスト・デ・カンポス、フェルナン・レジェ、マン・レイ、マンゾーニ、ブルース・ナウマン、ウォルフ・ヴォステル、ヤニス・クセナキス、荒川修作、河原温など。コンセプチュアルアート、ビデオアート、コンピュータアート、造形美術、電子音楽、ミニマリズム、アクションミュージック、実験映画など、多様な作品が集められました。
デザインはスペインのアーティストでパンプローナを主催した電子音響音楽研究所「アレア(ALEA)」のメンバーだったホセ・ルイス・アレクサンコ。J.L.アレクサンコによるデザインで、アーティストによる作品のコンセプトや構想、設計やシステムなどをビジュアライズ。作家、グループ、作品ごとに本体の2.5倍サイズのページ(袖折込み)と2分の1のページを挿入したユニークな造本となっています。
ナバラ出身の建築家一家で、音楽と造形美術の分野で社会文化活動を推進するフアルテ家の支援により、アレアが主催したイヴェントは、1972年6月26日より7月3日にかけ8日間にわたり開催されました。この試みは、アーティストと市民が共に生活し、街を大きく変貌させることに成功した好例として高く評価されています。
とくに1970年代以降、美術の潮流がタブローからインスタレーション、ハプニングやパフォーマンスへと軸足を移していく中で、展覧会につきものであるはずの図録の方はと云えば、それほどラディカルな変化は見られなかったように思います。
例外として良く知られているのが、ドイツのヴァルラフ・リヒャルツ美術館で開催された展覧会『アート・オブ・ザ・シックスティーズ』(“Art of the Sixties” Wallraf-Richartz Museum 1969年初版刊行)の図録。作品を別刷して貼り込んだり金属製のボルトを使って綴じたり、ユニークなデザインで知られていますが、当書もこれと並ぶ数少ない事例のひとつと云えるのではないでしょうか。
『アート・オブ・ザ・シックスティーズ』の方であれば小店でも一再ならず扱ってきましたが、流通量の違いか当書を手にしたのは今回が初めてです。
デザインを担当したホセ・ルイス・アレクサンコは、マドリッド大学とIBMの合意で1966年に設立されたコンピューティングセンター(Centro de Cálculo de la Universidad de Madrid)のメンバー。アレクサンコによるアーティスト・ブックとみることも可能ではないかと思います。
尚、国立ソフィア王妃芸術センターは、1997年に「パンプローナの出会い 25年後」と題する展覧会を開催しており、戦後スペインにおける文化イヴェントとしての重要性を物語ります。
「公共空間へアートをという明確な目的のもとに組み立てられたエンカウンターズはスペインで行われた最大のパブリックアートイベントといえるだろう。(中略)芸術的なものもすべてイデオロギー的な出来事として解釈されるスペインにおいて、60年代の最も前衛的な芸術運動を俯瞰する機会を提供したのである。」ソフィア王妃芸術センター
Text by 佐藤真砂