CARTES PEINTE
Bibliographic Details
- Title
- CARTES PEINTE
- Artist
- 赤瀬川原平、池田満寿夫、宇佐美圭司、岡本信治郎、加納光於、菊畑茂久馬、小島信明、清水晃、須賀啓、鈴木慶則、高松次郎、田名網敬一、田中信太郎、谷川晃一、坪内一忠、中西夏之、中根昭子、中村宏、野中ユリ、平賀敬、深沢幸雄、宮迫千鶴、村上善男、元永定正、横尾忠則、吉田カツ、吉野辰海
- Director
- Koichi Tanikawa / 谷川晃一
- Publisher
- エディションナンシー
- Year
- 1981 or 1982(無刊期)
- Size
- h89 × 63mm(Card), h 91 × w73× d27mm(Box), h100×w154×d31mm(Case)
- Weight
- 150g (Cards with Box) x2, 330g(with Case)
- Language
- 日本語
- Binding
- トランプ 蛇腹型冊子付き
- Printing
- オフセット印刷
- Materials
- 紙
同じ内容の2箱セット、内1箱は開封済未使用、残り1箱は未開封の極美品。作家紹介文の執筆:石崎浩一郎
27人のアーティストが参加した
トランプのかたちをした
小さな作品集。
使えないトランプカードを見つけました。もともと使うために作られていません(と推測します)。54枚のカードは図柄がすべて違います。一般的なトランプのように、数字とマークがきちんと描かれているものもありますが、それはほんの一部。本当にすべてのカードが揃っているのか、売り主の責任として照合を試みたものの、これが骨の折れる作業でした。結論として清水晃と中西夏之の絵面はちょっと無理があるので、このカードで神経衰弱でもしようものなら、身体が衰弱する恐れがありますのでご注意ください。
タイトルの« CARTES PEINTE »(カルト・パント)は絵札を表すフランス語で、当品では「現代美術の第一線で活躍中のアーティスト27名の作品によるオリジナル・トランプ」(冊子より)を指すのだそうです。
そんなトランプづくりに参加したのは、現代美術の第一線で活躍中の日本人アーティスト。高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之、中村宏、菊畑茂久馬、横尾忠則、田名網敬一、村上善男、宇佐美圭司、加納光於、池田満寿夫、野中ユリ、元永定正、谷川晃一等。付属の冊子にはカード×作家の一覧と、美術評論家・石崎浩一郎による作家紹介が掲載されています。アーティスト27名・2点ずつの作品を絵柄として使用、トランプの格好をした作品集とも言えます。
この無謀とも画期的とも言える企画を実現したのは、1980年頃に表参道のハナエモリビルにあったアンティーク・ナンシー内エディション・ナンシー。発行人は現代舞踏家として知られている三浦一壮です。
トランプカード本体以外に、当時並行して開催されたとみられる「カルト・パント展」(銀座 GALLERY505代表・永松磨里央)の案内状及び専用封筒が付いています。が、しかし、トランプの刊行と展覧会開催が何年だったのかが分かりません。参加アーティストである須賀啓の年譜によれば1981年、清水晃の年譜では1982年とされていて、一体どちらなんだか。そもそもトランプ発行と展覧会が同じ年だとも限らない。そのため、正確な時期が特定出来ておりません、その真相は謎のままです。
調べたところ、商品としては同じ «CARTES PEINTE» で、単品と2つセット入の2種類が存在しているようです。今回出品するのは2つセットで内1つは未使用の極美品。もう二度と出会えないかもしれない、そんな逸品です。
ブックハンター佐藤真砂のつぶやき:
あまり知られていないことかも知れませんが、ギャラリーのDMには年記のないものが驚くほど多く、一方で、インターネットでは今回同様情報が食い違うケースに度々見舞われて、画廊で開催された展覧会がいつのことだか特定するのは、エフェメラ屋の頭痛の種のひとつです。
アーティストの年譜から拾えた今回は(といっても食い違っているわけですが)まだラッキー。例えば郵便番号が7桁になったのはいつからだっけ?とか、電話番号が10桁になったのはいつからよ!とか、この人何者? に始まり この建物竣工はいつなんだ? などなど、調べても調べても何のヒントも得られない徒労感を避けるためにも、お願いです画廊のみなさん、DMには必ず年度を入れて下さい。いまからたかだか40年ほど前のことでも、正しく記録されないかぎり、実に簡単にあっけなくその消息は分からなくなってしまうものです。
Text by 佐藤真砂