おじいちゃんの封筒[新装版]
Bibliographic Details
- Title
- Grandfather's Envelopes[second edition]/ おじいちゃんの封筒[新装版]
- Author
- Sakuko Fujii / 藤井咲子
- Artist
- Kouzaki Hiromu / 神前弘
- Editor
- Osamu Kushida / 櫛田理
- Designer
- Nobuhiro Yamaguchi / 山口信博 + Ippei Tamai / 玉井一平
- Director
- Art direction by Nobuhiro Yamaguchi / 山口信博
- Images
- Photo by Takashi Shima / 島隆志
- Publisher
- BON BOOK (TOSHO PRINTING CO., LTD.)
- Year
- 2023
- Size
- w148 × h210 × d8mm
- Weight
- 200g
- Pages
- 112
- Language
- Japanese and English / 日英対訳
- Binding
- Hard Cover Binding / ハードカバー
- Materials
- Paper
- Edition
- Limited edition of 2400 copies / Special edition of 100 copies
- Condition
- New
The first edition published by Rutles in 2007 is reprinted as a second edition with the addition of "Guide to Grandfather's Envelopes" which is Memorandums by the author. ラトルズから2007年に刊行された初版に「覚え書き」を加えた新装版 / Translation by Patricia Daly Oe (R.I.C. Publications) 大江パトリシア, Osamu Kushida 櫛田 理 (p.109) / Book Design by Yoshihisa Tanaka 田中義久 / Sales Cooperation by 無印良品 MUJI BOOKS / Printing and Binding by TOSHO PRINTING CO., LTD. 図書印刷株式会社
身近にあって、
不用なもので作った”紙の仕事”、
こんな何の変哲もないものが
こちらの心に強く響いてくるのは
どうしてなのだろう。
・・・坂田和實
大工の棟梁だった神前弘(こうざき・ひろむ)さんが、
身近にあって不用なものでつくった紙の封筒。
自ら「紙の仕事」と呼び、どこかで発表するでも、だれかに売るわけでもなく、95歳で亡くなる日まで、朝から晩まで毎日つくり続けた封筒は、膨大な数に及んだ。
孫の藤井咲子さんが発見したことで、かろうじて残された封筒コレクションから、本書は104点を収録している。いずれも藤井さんがたいせつに所蔵してきた名もない作品群である。
封筒づくりの材料は、新聞紙や折込チラシ、包装紙やティッシュ箱など、生活のサイクルのなかで役目を終えた不用品たち。自分宛ての請求書や健康診断書、病院の薬袋などもその対象になった。
封筒をつくるために紙を購入するなんてことは、しない。生活するなかで、目の前を通過しては消えていく、エフェメラルで取るに足らない紙ゴミこそが、おじいちゃんが封筒をつくり続けるために欠かせない燃料だった。
新装版で追加された「覚え書き」には、こうある。
ある日、おじいちゃんの隣で原稿書きをしていた家族が席を立って戻ったら、書き途中の原稿用紙が封筒になっていた。おじいちゃんの封筒に姿を変えた手紙や学校のレポート、製図の青焼きなどを見ると、当時の暮らしがよみがえる。
同じく藤井咲子さんが巻末に綴った「紙の仕事の日々」には、こうも書かれている。
手先が器用だったおじいちゃんが毎日出来合いの紙で封筒を作るようになると、こんどは紙の方が足りなくなりました。そこで、封筒づくりの工程をわざわざ増やすために、層になっている分厚い紙を一枚ずつ剥がす作業を加えるようになりました。おじいちゃんにとっては、封筒そのものよりも、手を動かし続けることの方が大事なことだったように思います。
今回、復刊を記念してFRAGILE BOOKSから刊行される特装版(Special Edition)は、おじいちゃんの封筒へのオマージュとして、関係者がみずから手を動かし、手作業で剥がした厚紙を表紙に使用することに。このアイデアの発案者でもある山口信博さんと山口美登里さんのおふたりは指先に神経を尖らせ、藤井咲子さんや他のみなさんは、布テープや手芸用のかぎ針を駆使したりして、関係者のおのおのが表紙をひっぺがすという前代未聞の本づくりを体験しました。
一冊ずつ表情が異なる特装本は、さらに坂田敏子さんの発案によって、mon sakata の残布でつくる「本の上着」に包んでお渡しすることに。どうぞおたのしみに。
復刊にあたり、2023年3月17日〜3月18日には
100冊限定の特装版を展示販売するイベントを、
4月29日からはmuseum as it isで復刊記念展を開催します。
詳細は下記をご覧ください。
Text by 櫛田 理
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«特装本»
100冊限定の特装版は、おじいちゃんの封筒にならい、手作業で剥がした厚紙を使用するため、表紙は一冊ずつ異なります。展示販売イベントの詳細は下記をご確認ください。
お問い合わせは、info@fragile-books.com まで。
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【展覧会情報】
<特装本・限定百冊展>
古道具坂田のあった場所で開催する本展は、100冊限定の特装本を展示販売します。この特装本は、坂田敏子さんのご協力で、一冊ずつ mon sakata の残布でつくる「本の上着」に包んでお渡しします。無くなり次第、販売終了となります。ご予約はお受けできませんのでご了承ください。
日時:2023年3月17日(金) - 18日(土) 11:00-18:00
場所:mon Sakata studio 隣 坂田ハウス
住所:161-0033 東京都新宿区下落合3-18-9
注意:事前予約、お取り置きは承れません。お一人様2冊までとさせていただきます。
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<おじいちゃんの封筒・復刊記念展>
藤井咲子さんが所蔵する「おじいちゃんの封筒」コレクションから書籍で掲載された貴重な実物を展覧します。また、会期中には、おじいちゃんの封筒に合わせて、坂田和實の古道具コレクションの一部も展示することになっています。
日時:2023年4月29日(土) - 11月26日(日) 10:30-16:00 ※土・日のみ開館
場所:museum as it is
住所:297-0154 千葉県長生郡長南町岩撫41
展覧会に関するお問い合わせは、info@fragile-books.com まで。