カード式 住宅建築間取設計組立自在
Bibliographic Details
- Title
- カード式 住宅建築間取設計組立自在
- Editor
- 大塚泰
- Director
- 大塚泰
- Publisher
- 高岡書店
- Year
- 1914 (大正3年)
- Size
- 295mm × 205mm × 45mm box
- Weight
- 900g
- Language
- Japanese / 日本語
- Binding
- カード式
- Materials
- Paper, Aluminium, Magnet(Compass)
- Edition
- First edition / 初版
- Condition
- Good (Foxing,Sunned, Soiling) / 箱傷有、カード埃シミ少汚れ
1畳から60.5畳まで面積別畳部屋、1間半から3間半までの土蔵、廊下、階段、湯殿、押入れ、門、戸袋、床(床の間)、違い棚、書院など、パーツ別カード点数170点超・全点厚紙製。マス目入り坪割図台紙、方位図、方位磁石、東西南北を示す鋲4点(畳用)、使用方法と間取りの基本知識をまとめた25Pの小冊子付き。
東京駅が開業した1914年刊行の
「間取りワークブック」は
いまでも使えます。
今週は悩める素人の味方、住宅設計における最強のツールボックスのご紹介です。住宅建設は人生の重大事、そう度々あることではありません。しかもお金がかかる。それだけに、誰でも失敗は避けたい。間取りや庭の位置はじめ、嗜好や生活の変化にも耐えうるように熟考が必要です。
ところが大きなお買い物だけに迷いはつきもの。いざ設計となると何度製図をしても不便な部屋が出てきたり、戸袋の位置がおもしろくないなんていう不満が出くる。
意に沿う間取りを得るまでには、こうして幾多の悩みと困難と面倒とが待ち受けることになります。これらの悩みは大正・昭和・平成・令和と時代は流れても尽きないようです。
そこで開発されたのがこの『カード式 住宅建築間取設計組立自在』。
本書は、住宅に必要なお部屋の広さと用途にあわせ、各種用意されているカードから必要なものを選んで自在に操り、間取りを決められる画期的な商品です。
製図には専門家の手とアタマが必要ですが、これさえあれば素人でも自由に間取りを考えられます。しかも納得がいくまで何度でもやり直せるという優れもの。カードは丈夫な厚紙を使っておりますので繰り返しのご使用にも充分に耐えられます。図面をひき直してもらう度に専門家の先生に気を遣ったり、遠慮して希望を伝えなかったばかりに一生に一度のお買い物に後悔が残った、などということともこれでさよなら。
もうひとつ、お家を建てる時にみなさん気にされるのが方角の問題だと思います。この『カード式 住宅建築間取設計組立自在』さえあれば、そんな心配も不要です。坪割図の中央に八角形の方位図を置き、方位図の中心に方位磁石を置くだけで、気になる鬼門も一目瞭然。家の方角を決めたら付属の東西南北の鋲で坪割図を固定して下さい。坪割図の上でいくら間取りを動かそうとも、これで方向がずれることもありません。磁石と方位図を常に坪割図の端の方に置いておけばなお安心。このツールボックスが総力をあげて、なっとくの間取りにたどりつくまで、徹底的におつきあいいたします。
というわけで、この商品を編纂したのは工学士の大塚泰先生。大塚先生は、大正時代の建築専門誌に当時最先端の素材だったコンクリートに関する連載を持っていたり、「建築家の隠れたる苦心」という文章を寄せたりしている立派な専門家。単なる思い付き商品ではございません。付属の解説には衣食住の中で「住」だけは毎日変えるわけにはいかないので、住宅は建てる前に飽きのこない間取りを熟考するべし、と書かれています。経験値の高い専門家ならではの助言、説得力があります。
あとは間取りを決めるだけ。
7畳から24畳のお部屋を中心に、小さなお部屋は2畳から、大きなお部屋は60畳半まで、将来どちらに転んでも間取りのことならこれひとつで何でもこいというこの商品、あいにく在庫は1点限り。
Text by 佐藤真砂