裸形のデザイン[特装版]
Bibliographic Details
- Title
- Naked Shapes 〔special edition〕/ 裸形のデザイン[特装版]
- Author
- Seiji Onishi / 大西静二
- Editor
- Keiichi Sumi / 澄 敬一
- Designer
- Art direction by Nobuhiro Yamaguchi / 山口信博、Design by Nobuhiro Yamaguchi / 山口信博 + Ippei Tamai / 玉井一平、Binding design for BON BOOK series by Yoshihisa Tanaka / シリーズ造本設計:田中義久
- Director
- Publishing Director: Osamu Kushida / 企画+構成:櫛田 理(FRAGILE BOOKS)
- Images
- Photography by Yosuke Otomo / 大友洋祐
- Publisher
- FRAGILE BOOKS
- Year
- 2023
- Size
- w148 × h210 × d15mm
- Weight
- 280g
- Pages
- 112
- Language
- Japanese / 日本語
- Binding
- Hardcover / ハードカバー
- Materials
- 表紙|大和板紙 アスカの銀F 270g/m²、見返し|NTラシャ/ベージュ、本文|b7トラネクスト 120.5㎏(紙厚198μm)
- Edition
- Limited 100 copies / 限定100冊
- Condition
- New
Numbered edition of Limited 100 copies. Based on the second edition published by BONBOOK in 2023, this special edition book is limited to 100 copies, with a special order for the cover. /限定100冊、シリアルナンバー入り。2023年にBONBOOKから刊行されたsecond editionをベースに、表紙まわりを別注した100冊限定の特装本。
「これは美しい」と感じる形の源泉をたどると、
どれもみな神仏の世界に通じてしまう。
・・・大西静二
コマツのフォークリフトから国産戦車まで数多くの工業製品を手がけたインダストリアルデザイナーの大西静二は、骨董や古物の界隈では知る人ぞ知る名物コレクターでもある。
本書は、そんな大西さんが長年蒐集してきた約200点の国産アルミニウム製品から厳選した50数点の写真を収録し、それぞれに自らのデザイン批評を織り交ぜた一冊になっている。ラトルズから2009年に刊行された初版の増補改訂版として、あらたに3点のアルミニウムコレクションを加えた。ブックデザインは、山口信博さんにお願いした。
ところで、日本人がはじめてアルミニウムと出会ったのは、1880年代に遡る。1893(明治26)年、大阪砲兵工廠の太田徳三郎が兵器の製造に用いるために礬素銅(ばんそどう)の試験結果を陸軍大臣大山巌に宛てて報告したように、当初からアルミは兵器として使用された貴金属で、アルミニウムの増産は日本の軍需産業に欠かせないものだった。ちなみに、礬素銅とはアルミ(当時は礬素と呼ばれた)と銅を配合した合金で、前述の実験結果から礬素銅は兵器鋳造の材料として優れていることが分かっていた。
1898(明治31)年にアルミの国産化が本格化する。空軍のマテリアルとして、鉄に比べて軽いアルミは戦闘機の機体に必須だったのだ。20世紀初頭の戦争時代、特に日中戦争以降、アルミは零式艦上戦闘機(いわゆる零戦)の機体材料であるジュラルミンの原料として、いよいよ需要が高まっていた。ジェラルミンは、アルミに銅とマグネシウムを加えた合金で、アルミのように軽く、アルミよりも強度がある。そして、戦争によって生まれた大量のアルミは、戦争終結とともに用済みとなって、アルミ屑が町工場に流れてきた。
ここから、大西清二がコレクションしたアルミニウムの物語がはじまる。「サイコロ」や「メガホン」や「赤ちゃんのガラガラ」から「団扇」や「ちゃぶ台」や「仏前の輪(りん)」まで、なんでもある。実際、終戦直後の鉄や銅や木材が不足していた数年間は、アルミによる代用品が日常にあふれていた。1944年生まれの大西さんは、そんなアルミニウムプロダクト全盛の時代に、幼年期を過ごした。大西さんにとっては、最初に出会ったデザインが、デザインの教科書に載らないような、デザイン正史の外にある「デザイナーなしのデザイン」だった。
この特装版は14年ぶりの新装復刊に際して、FRAGILE BOOKSが限定100冊だけ発行したもので、通常版とは異なる表紙カバーで、シリアルナンバーの入ったナンバードエディションになっている。特装版のみ限定の銀色の表紙は、一冊ずつ手作業でペーパーサンドをかけて、アルミニウムの古道具のような質感に仕立てている。表紙のテクスチャは、一冊ずつ異なりますので予めご了承ください。
Text by 櫛田理
〈著者略歴〉
大西静二 / Seiji Onishi
1944年、香川県生まれ。インダストリアル・デザイナー。
株式会社アルファデザイン代表。
小学4年生のとき、担任の先生が持っていた登山用の「ピッケル」に衝撃を受け、自ら図面を描いて近所の鍛冶屋さんに発注したことが、モノづくりに目覚めたきっかけだという。
1960年代中頃、電子機器メーカーの研究所のデザイン部員として国産コンピューターの開発などに携わった後、1969年に自身の工業デザイン研究所を開設し独立。以後、知育教育玩具、美容機器、二輪・四輪車からブルドーザー、パンタグラフの原理を使ったユニット・ハウスといった住宅まで、大小さまざまな製品や機械・機器類の設計と制作を手がけてきた。
代表作に、イタリアの女優ソフィア・ローレンを起用したCMと「ラッタッタ」の愛称で大ヒットしたホンダのミニバイク「ロードパル」(1976年)、Gマーク(グッドデザイン)産業機械部門賞を受賞した「コマツ超小旋回式ショベルPC50UU-2」(1992年)などがある。
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This book is a collection of aluminum tools for ordinary life collected by industrial designer Seiji Onishi. Many of the items are naked aluminum products made by Japanese town factories soon after the WWⅡ.
"Naked Shapes" (published by FRAGILE BOOKS), newly reissued in the spring of 2023 for the first time in 15 years, will be presented for the first time.
These special editions are limited to 100 copies each, and will be numbered editions with a different cover than the standard editions currently on sale.
Text by Osamu Kushida