Paper Study Pieces 1
Bibliographic Details
- Title
- Paper Study Pieces 1
- Artist
- コイズミアヤ / Aya Coizumi
- Year
- 2022
- Size
- h36 × W87 × d25mm(外箱 h50 × w165 × d120mm)
- Weight
- 0.1g 以下
- Materials
- 方眼紙,フィルムプラスト(中性紙テープ)
- Edition
- 5
- Condition
- New / 新品
ゼログラムの方眼紙で
組み上げる
ミニチュア立体模型。
ブルーの方眼紙で造形されたミニチュア立体模型。紙と紙テープだけで作られているため、小さく、翅のように軽く、繊細なつくりです。フラジャイルブックスのために、特別に製作してくれました。限定版として特製の木製函に収められています。
«Paper Study Pieces 1»は、原型の縮小版として制作された«Paper Study Pieces 2»に対し、原型のない新作です。
«Paper Study Pieces 2»には原型があります。«しくみの内側のしくみ II»です。しくみの内側のしくみシリーズは、日本建築の「継手」と「仕口」に関心をもったことがきっかけで2011年に取り組み始めた作品で、造形作家として大きな転換点となった作品といえます。
本作は、吹けば飛んでいくほど、小さく、軽い作品です。作家としても、作品を展開した(箱が広げられた)平面図をつくり、折り紙のように小さな箱を造形していく制作プロセスは、とても楽しいものだったと語ってくれました。
木材を使用する造形作品の場合、まずは平面図、そして立面図で立ち上がる姿を想像しながらPC上でつくるところに始まり、次に、製図を元にパーツごとに紙型を用意し、紙型に沿って木材のパーツを一つひとつ切り出し、最後には、木材のパーツを接着剤を使用し、手で組み合わせるのだそうです。
CADなどの3Dソフトは使わないのは、目の前で物理的に起きていることと"出会って"いくこと、あくまでも"手と頭で理解をしていく過程"を大切にしたい、という考えがあってのこと。これは、緻密な作品の中に、作家の身体感覚が内包されていることを垣間見られる、興味深いエピソードであり、そのプロセスを目の当たりにできるのが« Paper Study Pieces 1 »の醍醐味です。どれほど数値が正しくても、木材の状態や特徴、気候によっても微妙な差異が生じるため、最後は手の感覚で整えていくのだとか。
個人的には、昔大好きだったおもちゃ、大切にしていた文庫本にも近い、不思議な懐かしさをも覚えます。時の流れとともに、やつれていく姿までもが楽しみな作品です。
Text by 中澤健矢(FRAGILE BOOKS)