Diotima of Mantinea | マンティネイアのディオティマ
Bibliographic Details
- Title
- Diotima of Mantinea / マンティネイアのディオティマ
- Artist
- Rivotorto Pieces / リヴォトルト・ピーシーズ
- Year
- 2023
- Size
- h680 × w310 mm
- Materials
- Forced paper made in the 1970's, Paper handkerchief / 50 年前の強制紙 、畳紙
- Edition
- Unique
- Condition
- New
Includes booklet explaining the work, carton for safe keeping / 作品解説冊子、保管用カルトン付き
死に向かう者の中に、
永久なる新たな生を育むこと。
それこそが、愛の目的。
愛の神(エロース / Erōs)とはなにか。プラトン (Platon / B.C.427~B.C.347)の『饗宴 / Symposium』の中で、議論されている。「ソークラテース、すべての人間は、身体の面でも魂の面でも、懐妊の状態にあるのです。」ここでソクラテスに愛を教えているのが、マンティネイアのディオティマ。ソクラテスの師であり、女性の哲学者だ。
魂の面でも、懐妊の状態にある。
この一文が、私の心に宿ってしまった。
ディオティマによれば、女性であろうと男性であろうと、魂の面でも懐妊を迎える。それはつまり「不死のものを生み出したい、作りたい」という気持ちで、一度懐妊すれば、その知恵をともにできる最高のパートナーを探すのだという。そしてその出会いとともに、新たな生命=知恵を永続的に育んでいくのだ、と。
リヴォトルト・ピーシーズは、ふたりの理想を織り合わせるように活動している。作品に対する語りも「私は」と一人称にしているのは不思議に思うかもしれないけれど、どこかディオティマへのオマージュがあるかもしれない。
死に向かう者の中に、永久なる新たな生を育むこと、それこそが愛の目的だと、ディオティマは教えてくれる。
全てにおいて、変化のないことなどありえないのだろう。身体であれ、記憶であれ、感情であれ、そして時間さえも、古いものは新しいものを育み、新しいものもまた古くなり、そしてそれを繰り返す。
その永続的な生命の絶えることのないサイクルを2種類の紙で編んだ。新しいものを育む立場である以上、美しく善いものであれと知恵を絞って。
Text by Rivotorto Pieces
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<参考文献>
◇ 淡野安太郎『哲学思想史 問題の展開を中心として』(KADOKAWA)
◇ プラトーン『饗宴』(新潮社)
【注意点】
・保管の際は高温多湿、直射日光を避けてください。
・天然素材を使用しておりますので、置かれた環境により風合いや質感が変わることがございます。経年変化としておたのしみください。
【商品について】
・作家による手づくりの作品解説の冊子が付きます。
・作品を挟んで保管できる紙製カルトンにお入れしてお届けします。
・作家による手づくりの紙製マグネット式フレームをセットでお届けします。
・作家と選んだおすすめの額装もご用意がございます。
ご希望のお客様は、info@fragile-books.com までご連絡ください。別途ご案内させていただきます。
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フラジャイル博覧会
Passage of Paper Textile
紙々の断章
2023.4.1 - 2023.4.30
→展示アーカイブを見る
Rivotorto Pieces(リヴォトルト・ピーシーズ)による初めての個展「Passage of Paper Textile / 紙々の断章」を開催します。作家のふたりが幼少より恋い慕ってきた先人たちの名を冠した「紙のテキスタイル」による作品群です。聖人や絵本作家や建築家など、古今東西からこんな人たちが登場します。アッシジの聖フランチェスコ、須賀敦子、レオ・レオニと小島悳次郎、シャルトルのベルナルドゥス、ティントレット、ダンテ、ジョット、白井晟一、俵屋宗達、ウィリアム・モリス、エドゥアール・ヴュイヤール、ピエール・ボナール、ムンタネー、ミケランジェロ、ヘルメス、ディオティマ、バーバラ・サンソニ、エルジェ、吉野弘、ルソー、フリードリヒ2世、シモーヌ・ヴェイユ、アルド・マヌーツィオ、ピカソ、マスダジル洞窟にいた人。作品ごとに付いてくるそれぞれの人との出会いを綴ったメッセージもなかなか。