ジョットが描いた
ラピズラズリの礼拝堂のように
紙で星空を編む。

こんなにも何かを願いたくなるような星空があるのかと思う。


ラピズラズリで染まる一面に、瞬くように浮かぶ星々を配したパドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂 (Cappella degli Scrovegni) の天空。当時は

重大な罪とされていた高利貸しで代々財をなした依頼人のエンリコ(Enrico degli Scrovegni / ?-1336) は贖罪を願ったのだろうか。キリスト教を信じる者たちは終末に切なる願いをこめたのかもしれない。絵師のジョット自身はどうだろう、これから始まることになるルネサンスへの期待を願ったかも知れない。

古くから伝わる伝統的な星空の下に、何年も忘れられてきた人間らしい感情をあらわした場面が広がる。これからも、その自然な観察と表現が当たり前に行われますように、と。数え切れない人々が願いを込めた星空の下で、私もさまざまに願いを浮かべる。

いつかジョットが花咲いたアッシジ (Assisi) の作品も観に行きたい。
そしてイタリア各地のジョット作品に触れてからもう一度、パドヴァ (Padova) の地でこの星空を見上げたい。
ジョットの青はまねできないが、紙で編んだ星空を眺めながら、また願う。

Text by Rivotorto Pieces


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<参考文献>
◇ 渡辺晋輔『ジョットとスクロヴェーニ礼拝堂』（小学館）
◇ アンナ・マリア・スピアッツィ『ジョット スクロヴェーニ礼拝堂 パドヴァ』
◇ ジョルジョ ヴァザーリ『芸術家列伝1 ― ジョット、マザッチョほか』（白水社）
◇ 浅野和生『ヨーロッパの中世美術―大聖堂から写本まで』（中央公論新社）


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・作家による手づくりの作品解説の冊子が付きます。
・作品を挟んで保管できる紙製カルトンにお入れしてお届けします。
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フラジャイル博覧会

Passage of Paper Textile
紙々の断章
2023.4.1 - 2023.4.30
→展示アーカイブを見る

Rivotorto Pieces（リヴォトルト・ピーシーズ）による初めての個展「Passage of Paper Textile / 紙々の断章」を開催します。作家のふたりが幼少より恋い慕ってきた先人たちの名を冠した「紙のテキスタイル」による作品群です。聖人や絵本作家や建築家など、古今東西からこんな人たちが登場します。アッシジの聖フランチェスコ、須賀敦子、レオ・レオニと小島悳次郎、シャルトルのベルナルドゥス、ティントレット、ダンテ、ジョット、白井晟一、俵屋宗達、ウィリアム・モリス、エドゥアール・ヴュイヤール、ピエール・ボナール、ムンタネー、ミケランジェロ、ヘルメス、ディオティマ、バーバラ・サンソニ、エルジェ、吉野弘、ルソー、フリードリヒ２世、シモーヌ・ヴェイユ、アルド・マヌーツィオ、ピカソ、マスダジル洞窟にいた人。作品ごとに付いてくるそれぞれの人との出会いを綴ったメッセージもなかなか。