Hiroshi Yoshino | 吉野弘
Bibliographic Details
- Title
- Hiroshi Yoshino / 吉野弘
- Artist
- Rivotorto Pieces / リヴォトルト・ピーシーズ
- Year
- 2023
- Size
- h135 × w280 mm
- Materials
- Mizuho Dyed Paper Indigo (Tosa), Pure Lokta Ultrathin Paper (Nepal) , Tracing Paper / みづほ染紙 藍(土佐) 純ロクタ極薄紙(ネパール) トレーシングペーパー
- Edition
- Unique
- Condition
- New
Includes booklet explaining the work, paper magnetic frame, and carton for safe keeping / 作品解説冊子、紙製のマグネット式フレーム、保管用カルトン付き
読み方で変わるその世界は、
希望の風が吹き、
救いの雨が降る。
人生を支えてくれる詩に出会えることは、奇跡のようなことだと思う。
吉野弘 (1926-2014) の詩『眼・空・恋』と出会った時、身体と心のあわいにある名状しがたい神秘と出会えた気がした、とにかく感動した。なんて美しい世界に出会ってしまったのか、と。
私は断言する
見るに値するものがあったから
眼が出来たのだと
ぼんやり感受した明るい空を
はっきり見ようとして
皮膚の一ところが次第に透明な水晶体へと
変わってゆくさまを 私は思い描く
今一つ 私は断言する
美しいものは
眼の愛に射られて
より美しくなってゆくと
恋人を美しく彫り上げた眼を
君が持っているなら
私の断言を容れるだろうーーー『眼・空・恋』 吉野弘
見ること、すなわち、目の前の世界を愛し感受することは10代から20代前半に集中して鍛錬してきたことだった。どのように作るかよりも、どのように見るかということに、
しかもその単純なことだけに時間を割けたことは、今思えばよかったのかもしれない。
けれども人は徐々に違った現実も見えてしまう。世界に合わせるように自分の見方を変えることは、時として残酷なことかもしれない。そんな中で私はこの詩に出会い、今もことあるごとに読み返している。詩は人を救う方法を知っている。
世界も、美しさも、詩も、すぐにわかるものではないかもしれない。それでも時間をかけてでも見つめていたいものなのだ。
Text by Rivotorto Pieces
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<謝辞>
本作品の趣旨を理解し快く詩の引用を許可して頂いた吉野弘さんのご遺族に、この場を借りて、感謝申し上げます。
<参考文献>
◇ 吉野弘『感傷旅行―吉野弘詩集』(葡萄社)
◇ 吉野弘『妻と娘二人が選んだ「吉野弘の詩」(青土社)
◇
谷川俊太郎、他『ユリイカ 2014年6月臨時増刊号 総特集=吉野弘の世界』
(青土社)
【注意点】
・保管の際は高温多湿、直射日光を避けてください。
・天然素材を使用しておりますので、置かれた環境により風合いや質感が変わることがございます。経年変化としておたのしみください。
【商品について】
・作家による手づくりの作品解説の冊子が付きます。
・作品を挟んで保管できる紙製カルトンにお入れしてお届けします。
・作家による手づくりの紙製マグネット式フレームをセットでお届けします。
・作家と選んだおすすめの額装もご用意がございます。
ご希望のお客様は、info@fragile-books.com までご連絡ください。別途ご案内させていただきます。
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フラジャイル博覧会
Passage of Paper Textile
紙々の断章
2023.4.1 - 2023.4.30
→展示アーカイブを見る
Rivotorto Pieces(リヴォトルト・ピーシーズ)による初めての個展「Passage of Paper Textile / 紙々の断章」を開催します。作家のふたりが幼少より恋い慕ってきた先人たちの名を冠した「紙のテキスタイル」による作品群です。聖人や絵本作家や建築家など、古今東西からこんな人たちが登場します。アッシジの聖フランチェスコ、須賀敦子、レオ・レオニと小島悳次郎、シャルトルのベルナルドゥス、ティントレット、ダンテ、ジョット、白井晟一、俵屋宗達、ウィリアム・モリス、エドゥアール・ヴュイヤール、ピエール・ボナール、ムンタネー、ミケランジェロ、ヘルメス、ディオティマ、バーバラ・サンソニ、エルジェ、吉野弘、ルソー、フリードリヒ2世、シモーヌ・ヴェイユ、アルド・マヌーツィオ、ピカソ、マスダジル洞窟にいた人。作品ごとに付いてくるそれぞれの人との出会いを綴ったメッセージもなかなか。