傘下
Bibliographic Details
- Title
- under the umbrella / 傘下
- Artist
- Fumio Tachibana / 立花文穂
- Publisher
- 広島 球体編
- Year
- 2020
- Size
- h202 x w142 x d6 mm
- Weight
- 220g
- Pages
- 130 pages
- Language
- Japanese / 日本語
- Binding
- Softcover bound by the artist / 私家製本
- Edition
- First edition of limited 350 copies / 初版限定350部
かつて父親が製本していた
原爆死没者名簿をきっかけに、
故郷の広島を撮り、製本した一冊。
ツルツルした出版物が多い時代に、ザラザラした私家本を作り続けるアーティスト、立花文穂。そんな立花さんが生まれ故郷を舞台につくった本。
広島の地下には「119冊の本」が安置されている。秘仏のようにふだん目に触れることのないそれらの本には、原爆で命を落とした32万4129人の名前と年齢と死亡日が毛筆で書かれている。毎年その年に死亡した人の名前が記帳されて、8月6日に平和記念公園の慰霊碑の下に納められるのだという。この原爆死没者名簿を製本していたのが、かつて広島市内で製本所を営んでいた立花文穂の父・英雄さんだったそうだ。鳥の子和紙を絹布張りの表紙で丁寧に綴じられたその風姿は、本書に収められている。写真は、立花文穂が広島と東京で撮ったもので、巻末には、兄で彫刻家の立花英久による小説を収録。印刷は、シナノ書籍印刷。350部限定で、製本は立花文穂の手による。
立花文穂 Fumio Tachibana
1968年、広島市生まれ。アーティスト。文字、紙、印刷、本を主な素材、テーマとして作品を制作。雑誌『球体』をはじめとした独自の本や印刷物をつくりだす一方で、美術作家として美術館やギャラリーでの展覧会も行っている。最新の写真集に『傘下』さんかがある。2020年12月13日まで群馬県立近代美術館での「佐賀町エキジビット・スペース1983-2000」展に参加している。
Text by 櫛田 理