Zero Mostel Reads a Book / 読書するゼロ・モステル

Bibliographic Details

Title
Zero Mostel Reads a Book / 読書するゼロ・モステル
Author
Robert Frank / ロバート・フランク
Publisher
New York Times
Year
1963
Size
h225 × w153 × d9mm
Weight
230g
Pages
44 page
Language
English / 英語
Binding
Hardcover / ハードカバー

It was offered to American Booksellers Association conventioneers by the New York Times. A series of amusing photographs and an early piece of Frank ephemera, which was published as a keepsake for the American Booksellers Association conventioneers by the New York Times; it was not offered for sale to the general public. N° de ref. ニューヨーク・タイムズ紙がアメリカ書店協会の大会参加者に提供したもの。ニューヨーク・タイムズ紙がアメリカン・ブックセラーズ協会の大会参加者のために記念品として出版したもので、一般には販売されなかった。

演者の在り方
写真の置き方
本の読み方

残りの頁が少なくなるのがこんなに惜しいなんて、傑作でしかあり得ない。写真家は写真という言葉を通して、演者は感情を動作や仕草に翻訳して私たちにその物語を伝えてくれる。ロバート・フランクとモステルは、完璧な仕事をした。

カメラマンは「THE AMERICANS」でアメリカン・ドリームの暗部を露出させたロバート・フランク(1924-2019) 。被写体は、1940~70年代に活躍したコメディアン、ゼロ・モステル(1915-1977)。頁をめくる度に、モステルが熱心に本を読み耽る姿が展開していく、モステルのユーモラスな表情を写しつつ、まるで映画のような画面に仕上がっているのだ。

「本を読む姿」は、めずらしくない画題で、マティス、フェルメール、黒田清輝らによって読書にふける多くの女性が描かれた。その表情は、無防備ながらも美しく、静謐な印象をあたえるものだった。だが、それまでの読書に対するイメージを裏切るように、ゼロ・モステルは驚愕、憤慨、大笑いをしながら本を読んだ。まるで映画のワンシーンのように。

見返しこそポップなデザインだが、中身は至ってシンプル。が、しかし、それなのに、この本はなぜこんなに雄弁なのか。小太りの男が本を読んでいる写真が載っているだけなのに、彼の声も、部屋で流れているであろう音楽も、なんなら煙草の香りだって感じられる気がする。

デジタル画面に目を委ねる今日、モステルの姿を羨むのは仕方あるまい。手の中にあるその本は、世界にたった一冊のモステルのために開かれた本であり、モステルの熱量や湿度を捉えながら、本はその世界を吸収していく。本は生きている、読む者によって生命を得て、呼吸を止めないのである。

この本は、1963年、ニューヨーク・タイムズ紙がアメリカン・ブックセラーズ協会の記念品としてつくったもので、一般市場には出まわらなかった。今ではコレクターズアイテムとして知られる。2008年には、多くのロバート作品を刊行してきた「Steidl」社によって再刊されている。

The subject is Zero Mostel, a comedian active in the United States from the 1940s to the 1970s. He is photographed reading a book with great enthusiasm. The photographer is Robert Frank, who exposed the dark side of the American dream in "THE AMERICANS. While capturing Mostel's humorous facial expressions, the film creates a cinematic-like picture.


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